Japanese
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特集 重複障害
聴覚障害を伴う患者の指導上の留意点
Key Concepts in Rehabilitation of the Physically Handicapped Persons with Hearing Problems
植村 英晴
1
Hideharu UEMURA
1
1国立聴力言語障害センター
1The National Center of Speech and Hearing Disorders.
pp.151-156
発行日 1979年3月15日
Published Date 1979/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101862
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はじめに
聴覚は,人間の感覚の中でもきわめて高度に発達した感覚と言われ,きわめて小さい空気圧の変動も感知する.たとえば,最小可聴閾値にほぼ等しいゼロデシベルとは,1cm2当り0.0002ダインの圧力にすぎない.この圧力で,鼓膜は,10-9cm動き,この動きは,水素分子の直径の1/10に相当する(図1).
このように高度に発達した聴覚は,身体条件のさまざまな変化に直接あるいは間接に影響される.身体に何んらかの疾患が生じた場合,聴覚閾値は,必ず変動すると言われている.従って,運動障害を持っている障害者もさまざまな頻度で聴覚障害を伴っている.たとえば,脳性麻痺者の8人に1人は,聴覚障害を伴っている(詳しく述べると,痙直型7.2%,アテトーゼ型22.6%,失調型18.4%に聴覚障害があると言われている.この出現頻度の差は,脳の損傷部位と関係しているように思われる).また,サリドマイド被害児の20%は,聴覚障害を持っている.
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