The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 12, Issue 10
(October 1978)
Japanese
English
特集 ダウン症と理学療法・作業療法
ダウン症幼児の運動発達の促進―作業療法士の立場から
Occupational Therapy for Motor Development of Children with Down's Syndrome Children
長谷川 元
1
Motoshi HASEGAWA
1
1川崎市心身障害センター
1Rehabilitation Center of Kawasaki City.
pp.689-694
発行日 1978年10月15日
Published Date 1978/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101771
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
ダウン症は染色体の突然変異によりおこる異常で,その主な問題は精神発達遅滞である,従って療育の中心は精神薄弱の範畴で論議されていた.ではこの子ども達に対し作業療法はなにをすればよいのだろうか,このことについてある程度体系化されたものがあるのだろうか,またOTの対象となり得るのだろうか“OTは作業を治療手段として応用し,患者の自発的参加を目的に治療行為を行う”とすれば作業を理解出来ない子ども達になにが出来るのだろうか,この事は主に特殊教育の中で論議され医療の中では部分的な関わりのみであったように思う.しかし最近の保健所での乳児検診制度の充実や,早期発見,早期療育に対する理解の深まりから,“普通の子どもとどこか異る”と言うことで我々のところに廻されてくる例が多くなった(表1).その中でしめる精神発達遅滞児の数は多く,大部分の母親があちこちと医療機関をまわり“特に問題ありません.時期がくれば歩けるようになるでしよう”,“知恵遅れですからやることはありません.大切に育てて下さい”と言われて悩みぬいて来る母親達である.ダウン症もその例にもれず健康管理の指導にのみおわっていることが多い.ただ他の障害に比し診断は生後まもなくついてくるのもダウン症の特徴と言える.また多くの精神発達遅滞児の中では小児テンカン症候群とならんでダウン症のしめる割合は比較的高い.
筆者自身乏しい経験の中で見たダウン症児の成長過程,成長後の多くの問題点およびその対応について試行錯誤を重ねながら考え行なっていることを整理して報告したい.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.