Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.序論
近年の産業,経済,文化の変動は予測が許されぬ急テンポで激変し,一国の孤立は難しく何事も世界的単位で動かざるを得なくなってきた.医療に関して,より多くの人口がより高度の治療の質を求める中で,予算の枠内でますます医療費は高騰しつづける状態である.精神医療も例外ではなく精神障害者に対する治療手段にも大きな変革が表れ,Hobbs7)(1964)によると精神医療は第1の革命がPinelによって起こり第2の革命がFreud,そうして第3の革命が地域精神医療と呼べるといった.米国では1960年代に,第3の革命が現実のものとして起った.榎本16)(1970)は臨床で多くのチームメンバーと働きながら,精神科医のidentity crisisを説明して役割の混乱,永年に亙り築かれた権威に対して抵抗があると指摘した.寺嶋21)(1970)も,退院患者の多くが再発し家庭,職場や地域社会での不適応を起し,家族をも困難な立場に立たせているが,精神科医は各自の病院に留まる傾向にあると述べた.一般的にいってこのように日本ではまだ地域精神医療の役割と機能が地につくところまでは至っていない段階であった.一方米国や西欧では地域精神医療は浸透し続け本調査の意識調査にも表れていた.
日本の精神科医と日本の精神科作業療法士(OTRと略す)が地域精神医療に対する意識や態度をどのようにもっているのかをBaker-Schulberg CMHI Scaleを用いて1972年に調査を行った.その中から問題点を見出した上で解決方法を探し,将来への方針づくりのための提言を出すことを計画した(この論文は,Boston大学Master of Scienceの一部分として1973年に英文で書いたものが中心となっている).
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.