とびら
「安全」の殻
溝呂木 忠
1
1慶応義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター
pp.293
発行日 1978年5月15日
Published Date 1978/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101671
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医療事故でPTが告訴されたという話はまだ聞かない.時に骨折や火傷を起こしてしまったという医療過誤の情報は伝えられるが,治りが遅い等医療の効率が悪いことでPTが問題にされたことはない.私も幸いなことに患者との間に,そうした類のトラブルを経験したことがない.しかしそれは,私が申し分のない治療を行っていたからだとは必ずしも言えない.私たちは,治療をやり過ぎない限り安全なのであるから.治療中に力余って骨折をさせてしまったり,不注意で重大な火傷を負わせてしまったりさえしなければ,治療の質について問われることはほとんど無い.拘縮が改善しないのはPTが適切な治療を行わなかったからだと息まく患者はまず居ない.
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