とびら
リハビリテーションに携わる人々に―相互信頼こそ成功への道
石田 肇
1
1日本医科大学理学診療科
pp.853
発行日 1977年12月15日
Published Date 1977/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101587
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私共日常臨床に携わっているものとして,母親にいたいけなお子さんが,「脳性麻痺ですよ」とか「進行性筋ジストロフィーの疑いがありますよ」と宣言する時ほど,つらいことはない.その子供の将来,これから踏み越えていかねばならない幾多の困難,家族の苦労を思う時,そしてこれらに対して私共の力が如何に無力であるかを知る時,心が暗くなるものである.そして「神様は何と不公平なのだろう」と煩悶せざるを得なくなる.
また,脊椎転移癌で死の苦しみのもとにあえいでいる患者を目の前にして,「何とかしてあげられないものだろうか」と胸を痛めるものの一人である.巷間,障害児をもった家族が,子供の将来を考えて,親子心中をしたという悲劇的なニュース,それに対する賛否両論,同情と非難の議論を聞くにつけ,何時も割り切れない気持に追いやられるものである.障害児を持った親の気持ちは,その当人でなければ測りしれないような切迫つまったもので,健康にすくすくと育った子供しか持っていない親には到底理解できないものであろう.
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