The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 11, Issue 10
(October 1977)
Japanese
English
特集 障害受容と援助法
障害受容の過程と援助法
Process of Adjustment to Physically Disability
古牧 節子
1
Setuko FURUMAKI
1
1都心身障害者福祉センター心理技術
1Tokyo Metropolitan Rehabilitation Center for the Physically and Mentally Handicapped.
pp.721-726
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101559
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Ⅰ.喪失体験と身体障害
人間は一生の間に何の予告もなく,肉親や友人と死別したり,財産・職業・地位を失う等,今まで生きる支えとしていたものや生活の源泉となっていたものを突然失うという事態に何度か直面する.突然の事故や疾病によって身体に修復不能の障害を受けるという体験は,多くの喪失体験の中でもっとも深刻なものの一つと考えられる.これらの喪失体験は(1)喪失から回復まで長い苦脳の過程があり,期待・絶望・期待・あきらめ・希望等,さまざまな強い情緒的体験を経て回復する.(2)回復した時点では新しい人間に生れ変ったという自覚をもつ.(3)客観的にみた事件の重大さと喪失体験の深刻さとは必ずしも一致しない,等の共通点をもっている.われわれが身体障害の経験をもたなくても障害者の苦悩や葛藤がある程度共感できるのは,自分自身が過去に経験した喪失の痛みに照して,障害者の内面生活が推察できるためと思われる.このように身体障害の受障体験は他の喪失体験と共通した面をもっているが,反面他の体験にはみられない困難な要素を含んでいる.それは他の喪失体験が経済生活・人間関係・価値観・情緒的体験等の主として心理的,社会的レベルの問題に限られているのに対し,身体障害の場合,心理的社会的レベルの背後に身体内部から感覚される疼痛,しびれ感のような苦痛や運動制限等の身体的・生理的レベルの問題が執拗につきまとっているということである.次に障害受容に必要な条件を考えて見たい.
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