特集1 障害者の参加と平等は可能か
障害者とともに生きられるように—事例から障害受容への援助を考える
今田 恵美子
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター
pp.992-995
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922809
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はじめに
私たちが,当たり前と思っている健康な日常の世界が,ある日突然,障害を受け,完全な孤独と恐怖の世界に変貌してしまったらどうであろうか.そのようなことを漠然と考えるようになったのは,私が看護婦を目指し,勉強を始めて2年目のことであった.その時,ある1人の22歳の脊髄損傷患者との出会いがあった.オートバイ事故による受傷であった.それまでは,健康で,オートバイに乗ることが一番の楽しみだった青年が,ある日を境に一生オートバイに乗れないだけではなく,一生車椅子の生活を送らなければならなくなったのである.そのことを本人が知った時の心理的打撃は,計り知れないほど深いものであったろう.
もし,自分だったらどうだろうか,と考えたが,自分に限って,障害を受けるようなことはないだろうという否認の気持ちの方が強く,何から考えてよいのかもわからず,困惑してしまった.そのことをきっかけに,脊損看護を勉強し,脊損患者を援助していきたいという思いが,心の中に強くわき上がってくるのを感じた.
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