Japanese
English
特集1 整形外科的疾患から
腰痛症の予防
Prevention of Low Back Pain Syndrome
岩崎 富子
1
Tomiko IWASAKI
1
1老人総合研究所リハ部
1Tokyo Metropolitam Institute of Gerontology.
pp.569-579
発行日 1977年8月15日
Published Date 1977/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101527
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はじめに
人間が他の動物と異なる大きな特徴は,「言葉を使用すること」と「両手を使用すること」にあると言う.二本足で歩くことにより,両手は歩行としての役目から解放され,かわって,物を作り出したり,操作する機能を持つようになって,人類の文明は発達を遂げてきた.しかし,両手が歩く機能から解放された代償として,人間に腰痛が与えられたとも言えないだろうか.四本足で体重支持をする場合より,二本足で体重支持をする方が腰椎にかかる負荷が大きいことは容易に推測される.その上,四肢を体重支持に使っている場合には,人間のように両手で重い物を持ったり,脊柱に偏心的に負荷をかけて物を操作するなどという状況はほとんど起らない.全人類の80%の人が,一生のうちで,一度は腰痛を起すという説もあるほど腰痛を起す人の数は多い.現在にいたるまでの間に,脊柱に関しては,解剖学,運動学,生化学,組織学,物理学等の面から諸家による研究がなされてきている.腰痛の原因を考えてみるとき,正常の関節構造より逸脱するような動き,偏心的な荷重,それから荷重そのものを含めて負荷又はストレスとするならば,腰痛症の原因は,直接的あるいは間接的に負荷に求められる.そこで,諸家の研究をもとに,負荷という面から脊柱の機構,腰痛症の原因と予防について考えてみたい.
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