境界領域 整形外科から
腰痛症について
羽根田 貞郎
1
1順天堂醫科大學
pp.120-123
発行日 1952年3月10日
Published Date 1952/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200598
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緒言
この問題は産婦人科領域と整形外科領域とのグレンツ・ゲビートの問題として常に實地醫家の頭を悩ますところであろう。綜合病院だと患者を一科から他科に廻すことによつて,簡單に解決がつく問題であるが,之が開業醫の場合になると醫師にとつても亦患者にとつても中々面倒なことである。殊に看板には整形外科を標榜はしても實際に整形外科學を專攻した人が,非常に尠い現状(昭和24年日本整形外科學會調)ではこの問題は未解決に終る場合がむしろ多いのではないかと憂うるのである。實地醫家にとつて整形外科と云うと,兎角難しい。面倒臭い科だと云つて敬遠され勝ちである。實際地方に行くと,骨折というと簡單に『接骨師』に行けと云つて逃げてしまう醫師が澤山ある實状を見てもこの一端が覗えるような氣がする。特にこの腰痛の問題になると産婦人科のみならず,外科,泌尿器科,胃腸病科,神經科などとも關聯があり又痛みの性質,場所などによる相關もあり,更にもう一歩進んで脊椎レントゲン像の『讀み』の難かしさなどがあるため,自然『餅屋は餅屋」という敬遠主義を取られるのも無理のないところであろう。しかし現實の問題として『知らない』では濟まされぬ時と場所とがあろうことも容易に察せられるので以下簡單に整形外科醫から見た産婦人科領域とのゲレンツゲビートに相當する腰痛問題をとりあげて説明した上あとは然るべき成書によつて御研究を願うこととしたい。
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