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はじめに
脳性マヒ児(以下CP児と略す)を中心とする幼少肢体不自由児に対する療育は,「早期発見,治療」を重視することから,外来・通園指導,母子入園等,さまざまなシステムのもとで行われてきている.母子入園のように短期間,母子単位で,施設入所するシステムを持つのは,全国肢体不自由児施設78カ所のうち30施設で,その役割は,すでに認識されているところである.しかし,実際には母子入園は,誰にでも可能という訳ではない.たとえ短期間であっても一家の主婦である母親が,家をあけることは,その家族の生活にとって,大変な負担をもたらすことでもある.さらに,子どもの成長,発達において,家庭(家族)の果たす役割が重要であることは言うまでもない.
肢体不自由児に対する乳幼児期療育の基本は,子どもの生活の基盤を家庭におき,家庭―地域社会―療育施設など,それぞれの場を切り離さず,つながりを生かして行うことにあると思われる(図1).又そこに母子通園施設の大きな特色を見い出すことができる.母子通園施設は,昭和45年に最低基準が設けられ,国の認可施設として正式に発足した.現在,肢体不自由児施設に付設されたもの,母子通園のみのものをあわせて,全国に約200カ所(いわゆる小規模通園施設を含む),東京では約30カ所が設立されている.(昭和50年9月,日本肢体不自由児協会調べ.)
しかし量的に増してはいても,通園可能な地域内にそれが不足していたり,一方では療育にたずさわる専門職員の不足,財源不足に悩んでいる施設も少くないと聞く.各施設により,そのサービスの質的な差が著しいのが現状のようである.
さて,本稿では母子通園施設である肢体不自由児協会の指導組織を紹介し,他の専門分野との連携におけるOTの役割と,指導内容,指導上の留意点,問題点等について述べる.
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