連載 福祉部門で働く医師からの手紙
通園施設からの便り
本山 和徳
1
1長崎市障害福祉センター小児科
pp.152-153
発行日 1998年2月15日
Published Date 1998/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901844
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秋を迎えるころ
夏を過ぎて朝夕涼しくなるころ,運動会が迫ってプログラムがたてられ園庭では帽子をかぶった園児と保母の姿が多くなる.
落ち着きのなかった子どもたちも通園に慣れ保育者との信頼で結ばれるこのころ,集団行動も十分とはいえないまでもなんとかまとまっていく.運動会の日,空は高く晴れテントには両親をはじめ家族が熱いまなざしを送っている.去年はじっとしていられなかったわが子がみんなと同じように走り,音楽に合わせ踊ることを目の当たりにする時,大きな喜びがあるのだ.園にはめったに顔をみせることのない父親もいつのまにかしっかりと目を据えて子どもに見入っている.運動場にひかれた白線の傍らで両親にすれちがう時,会釈をし一言声をかけ合う.入園式の時以来,出会うことのなかった父親もいて,どの園児の父親であるのか改めて確認できる.人の子の父親として何か共通感を感じる瞬間だ.
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