Japanese
English
講座
運動療法の原理(最終回)
The principles of physical therapy (final)
松村 秩
1
Satoshi MATSUMURA
1
1リハビリテーション学院理学療法学部
pp.123-126
発行日 1970年4月9日
Published Date 1970/4/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100308
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
筋骨格系を中心とした運動療法(つづき)
4.協調性の改善運動
筋を機能的に分けると,主働筋,拮抗筋,協同筋,安定筋,固定筋などがある.神経筋の再教育の意味は患者が自分で主働筋の運動のコントロールを覚えることである.その筋の筋力に比べて非常に軽い抵抗に抗しての運動では,その筋の運動のコントロールは随意的にうまくできるが,その抵抗が重いときには,安定筋が近位の関節を安定するために働かねばならない.更により重い抵抗が加わると,協同筋も主働筋と一緒に働くようになる.抵抗が更に増加すると拮抗筋も安定筋として働くようになる.
長時間の動作では筋は疲労してくるし,その主働筋に対する一定の抵抗もその疲労によって相対的に増大してくる.主働筋が弱いと患者はその筋を正しく使うことができない.その場合は弱い主働筋を強化し,正常な運動ができるように協調性を改善することが行なわれる.つまり運動の正確なコントロールができるように訓練される.その訓練のとき過重な抵抗を与えるとその抵抗によって,まわりの協同筋,安定筋,拮抗筋にインプルスが異常なパターンで拡散し,したがって主働筋のコントロールができなくなってくる.神経筋障害の患者にとっては主働筋の正確なコントロールの発達が重要であって,それが協調性のある運動の基礎となる.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.