The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 10, Issue 10
(October 1976)
Japanese
English
特集 職業的リハビリテーション
両下肢切断者の職業復帰まで―自験例の追跡調査からの検討
Until vocational rehabilitation of the bilateral extremity amputee
三橋 保雄
1
Yasue MITSUHASHI
1
1兵庫県リハビリテーションセンター
pp.755-763
発行日 1976年10月15日
Published Date 1976/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101317
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はじめに
両下肢切断者のリハビリテーションにおいては,ゴール設定の困難さをしばしは経験する.歩行能力の再現のため実施する義足装着訓練は,個個の症例により内容を異にし,あるときは期待する目標に達せず当惑することがある.また社会復帰を検討する段階では,機能的に良好な改善をみた症例でも,種々の問題点が指摘され,とくに職業的自立を目標とするとき一層複雑化する.一般企業への就職は門戸が固く閉ざされており,通勤の問題をどう解決するか,職場内の理境,設備の状態はどうか等,本人の機能的条件と雇用者側の労働条件を十分話しあって合意の上でようやく就労の運びとなる.
両下肢切断を含め重度障害者の就業率は,30.5%と低く,職業的リハビリテーションの必要性が高い1,2).一般に障害が重度であるほど,ゴール設定は,目標を低いレベルにおいてすすめられる傾向にある.しかしながら両下肢切断者の場合,身体機能の改善には高い目標を掲げアプローチする必要があるのではないか.この観点からすでに職業復帰している症例に対し,直接訪問して実情を把握するとともに意見を交換した.さらに臨床記録をも検討して両下肢切断者の理学療法の役割について考察した結果を報告する.
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