連載 日本全国,こだわりの住宅改造
両下肢切断者のトイレ改修
森 光代
1
,
平原 由起子
1
,
大田 哲生
1
,
木村 彰男
1
1慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター
キーワード:
義足
,
車いす
,
トイレ改修
Keyword:
義足
,
車いす
,
トイレ改修
pp.86-87
発行日 2006年1月10日
Published Date 2006/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100032
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事例
事故により右大腿および左下腿を切断した31歳,男性で,職業は建築設計士,受傷前は賃貸マンションで一人暮らしをしていた.当センターで28か月間リハビリテーションを施行し,右大腿義足,左下腿義足と両側T字杖を使用し屋外歩行も含め可能となり,ADL(activities of daily living)は車いすを併用し自立した.復職後の通勤を考え,会社近くの住居を探したが車いすに対応した物件は見つからず,一般の賃貸マンションを改修することになった.
改修前の問題点として集合住宅にありがちな以下の点が挙げられた.① 玄関の框は低いがスペースが不十分,② 浴室やトイレの各部屋間には段差がある,③ 居室は畳敷きの和室である,④ キッチンはシンクの下に収納があるなど,車いすや義足歩行の生活には実用的でなかった.以上に対し,畳敷きをフローリングに替える,車いすに対応したキッチンを作製する以外は大掛かりな改修を行わず,福祉用具の導入で環境調整を行った.建築設計士ということもあり,改修の内容や福祉用具の考案は患者が中心となり行った.作製された機器にはわれわれが気付かない工夫もされており,患者自身が日頃の生活で感じているニーズが具体的に現れていた.そのなかでも,トイレに関しては義足装着の有無で使用の方法が異なり,双方に対応できるよう工夫したので,その内容を以下に報告する.
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