特集 研究法
―研究テーマの見つけ方―週に1日の研究日を設けること―私の経験も含めて
渡辺 洋
1
1宮城県整肢拓桃園訓練室
pp.596-598
発行日 1976年8月15日
Published Date 1976/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101277
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はじめに
研究とは,ある現象群―特定の現象のこともあれば複数の場合もある―を事実に基づいて客観的に分析し,現象群の各要素に共通する基本的な原理に一つの構想を当嵌める一連の過程である.ある小辞典によると,「深く調べ考えること,ものごとを明らかにし真理を知ること」とある.すなわち,真理探究のための過程が研究であると考えることができる.
探究の過程には,対象となる現象群,対象を分析するための方法及び基本的な原理を概念化するための構想が含まれる.
クロード・ベルナールが「したがって実験的構想は同時に先験観念である.しかしこれは一種の仮説の形で現われてくる観念であって」と述べている如く,構想とは仮説としての観念であり,研究者の構想が研究に反映するような方法を選択されなければならない.しかし現象の事実をも取捨選択することは許されない.又研究の有益性について論ずることもあるが,研究―現象の事実とそれに対応した構想―には有益も無益も存在しない.研究によって得た結果を利用する場合にのみ価値判断が介入してくるのである.
研究テーマは,上記に述べた性格を持っていて,ある意味では研究者自身の個性が前面に押出されている.
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