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講座
運動学シリーズⅢ 手指の動作学―(その2:リハビリテーション工学からのアプローチ)
Fundamentals of the movements of the hand. Approach study from rehabilitation engineering.
田中 繁
1
Shigeru TANAKA
1
1都立老人総合研究所リハビリテーション医学部障害研究室
pp.219-227
発行日 1976年3月15日
Published Date 1976/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101185
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Ⅰ.はじめに
前回の講座で詳しく述べられたように“人間の手”は多種,多様な動作,機能をもっており1),これを工学的に表現すれば,この世の中で最も“ソフトな機械”ということができる.この“ソフト”さは手の機構そのものがソフトに作られているばかりでなく,いわばその制御部であり,一層ソフトである中枢神経系と結びつき可能になっているのであってこの結合なくしては現在のような高度に発達した文化(必ずしもプラス面ばかりではないが)はあり得なかったといっても言いすぎではなかろう.
この結びつきはまた,人間の手が運動器(出力部)としてばかり働いているのではなく受容器(入力部)としても重要な機能を果たしていることをみても明らかである2).というのは,これら受容器からの情報(フィードバック信号)がなければ決して本来の手の機能を発揮できないのである.
したがって,人間の手を理解するためには以上に述べられた①運動器としての手の動作,②受容器としての手の働き,③中枢神経系を中心とした制御機構の3つの要素全てを含む研究が必要となる.この中から本講座においては①の手の動作分析について解説することになるが,特に工学的側面からのアプローチとして,動作計測に関する問題,及びシミュレーションに関する問題を中心として述べる.
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