Japanese
English
研究と報告
片まひと肺機能
Hemiplegia and pulmonary function
井口 恭一
1
,
藤本 欽也
1
,
三宅 一博
1
Kyoichi IGUCHI
1
1甲州中央温泉病院
pp.515-518
発行日 1973年7月15日
Published Date 1973/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100661
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はじめに
片まひを呈すると,肺機能にもなんらかの影響があると考えられる.それは肺機能をつかさどる神経,筋肉などから示唆される(図1),かりに肺機能になんらかの影響がみられるとすればどのような追求が可能となるか.
大脳皮質,延髄網様体,橋部に呼吸中枢があることはPittsらの研究でわかっているが,これら中枢を経て呼吸筋に至る遠心路に関してはいまだ未解決な問題も残っている.呼吸運動は平常無意識下の運動であるにもかかわらず,深呼吸時などに随意運動としてのコントロールも可能なのである.このことは大脳皮質から呼吸筋へ行く直接経路の想定も可能なのである.すなわち錐体路の関与が考慮されるだろう.
しかし動物実験では,大脳皮質を含む上位中枢からの遠心路のすべてが,呼吸中枢を介して呼吸筋へ行くとされ,錐体路の呼吸運動への関与に関しては未解決である.しかし我々セラピストにとってこのことは重要なポイントと私は考え,少なくとも肺機能を知るということは意義深いものと考え,横隔膜,肋骨の動きを深吸気,深呼気時を一枚のX線写真に撮り,これらの左右の差の有無を観察測定することからはじめ,表1のような結果を得た(症例数が少ないため統計学的に有意義であるということはいえないが現段階で推定されること).
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