特集 脳卒中のリハビリテーション
Ⅳ 理学療法
片まひの歩行訓練―開始の時期と条件
藤本 欽也
1
1甲州中央温泉病院
pp.484-488
発行日 1971年11月9日
Published Date 1971/11/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100508
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はじめに
片まひに対する治療訓練のなかで,歩行に関する訓練は,重要な分野を占めている.今回は,片まひ歩行訓練を始めうるようになるまでに必要な,種々の条件に関し,理学療法における片まひ治療訓練の全領域の過程で,どのように準備され,それらを獲得していくかについて考察する.
片まひのこれらに関するものは,現在まで数多くの研究論文,発表などがなされ,詳細な内容や,訓練の方法論,テクニック論などについては,千差万別多様である.実際に行なわれている治療過程において,各種の理論に基づく多くのものがなされている.できうるかぎり,それら個々についてはさけ,片まひ患者が,いかに正常に近似した機能を獲得して歩行を行なうことが可能かにつき,一般的概論として考察する.
片まひ歩行訓練上で‘片まひ歩行’という特別個有なものはない.片まひの損傷度を考慮しつつ,正常な人間のもつ歩行機能の神経筋生理学的背景に基づいて,片まひに対し必要で十分な条件の準備のための訓練を,行なっていくのである.
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