Japanese
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今日の精神科作業療法
精神科作業療法よりみた一症例
A case report of psychiatric occupational therapy
稲地 聖一
1
,
大橋 博
1
Seiichi INACHI
1
1三重県立高茶屋病院生活療法科
pp.208-213
発行日 1973年3月15日
Published Date 1973/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100594
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まえがき
数年来,いわゆる悪徳精神病院の告発問題に端を発して,精神科医療の総点検がなされている.その中で特に問題視されているのが作業療法であることは周知のとおりである.
そこでは作業療法が‘療法’という名で患者に作業を課し,その収益を患者に還元することなく病院維持に役だたせているということが指摘され,また作業療法というものの,作業種目,スタッフ,設備などが乏しく,患者は集団で常同的な作業をさせられ,作業療法が患者の管理,抑圧のために使われているに過ぎないと批判されている.
現在の医療制度の下では,どの精神病院の作業療法も程度の差こそあれ,上述の批判はまぬがれ得ないであろう.筆者らは,このような悪条件の下で,その弊害を排除しつつ,患者を社会復帰させようと努力している.
ここに1症例を報告して,その一端を紹介したいと思う.
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