Japanese
English
研究と報告
精神科における保護工場の1例
An Instance of Rehabilitation Factories for Mental Treatment
大橋 博
1
Hiroshi OOHASHI
1
1三重県立高茶屋病院
pp.374-375,439-443
発行日 1970年12月9日
Published Date 1970/12/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100387
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はじめに
精神障害者が社会復帰するために,病院という温室から急に生存競争の激しい社会に出ると,極端な環境の変化のために社会に適応しがたく,短期間のうちに再入院してくる場合が多い.そのためには外勤療法のような段階的な方法もあるが,これでも途中で挫折するケースがしばしばある.
そこでもう一段階前の,OTの強力な支持を与えやすい.院内保護工場形式による作業療法の必要性をだれしも認めるところであろうが,現在の医療制度のもとでは,不採算部門である作業療法への予算は,なかなか獲得しがたいのが現状である.
そこで当院では,積極的に民間資本に働きかけて,寄付という形で設備を導入し,陶芸工場を建設した.また本工場から出向社員を派遣してもらって,OTの人員不足をカバーしている.
治療的には,患者の社会復帰に備えて技能修得,社会化訓練一辺倒でなく,知識面でのレベルアップ,人間関係の改善のために陶芸講座,社会講座および集団療法を実施して補っている.
試験的に,月1,2回の粘土細工から始めた陶芸が,本格的な‘やきもの’工場へと発展した過程と,保護工場の運営面,作業療法への活用状況と効果判定,社会からの評価を紹介する.
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