カメラルポ
ホルモン工場にて—神奈川県下のある製薬工場で
S A・S生
pp.42-46
発行日 1954年4月1日
Published Date 1954/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200589
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一口にホルモンと云えど
「1日位じや大丈夫でしようね?」同行のS氏盛に心配する.女性ホルモンの結晶浮游液など,作業をしていて手や指についたりしてそのままにしておくと,男性でも乳房に変化がみられたり,態度や言使いなど女らしくなるという話をきいているところだ.ホルモン剤とはそれ程効くものである.男性ホルモン,女性ホルモン,と巷間喧しく,電車の中にもたくましい男性の裸体ポスターがかかつたりする世の中である.
一口にホルモン剤といつても実にさまざまの種類がある.この会社でつくられるものだけでも何と40種類といつたら,たいがいの人はへえーと驚き呆れるであろう.だがこのホルモンも製造迭というか大別すると4種類になる.臓器からとるもの,天然ホルモンと称するもの,合成ホルモン(といつても牛・豚・馬の脳漿からとるので天然ともいえるのだそうだ)もう一つは,麝香(あの詩や歌にうたわれる動物ですよ)中のアルコールから合成するという合成ホルモンの四つだ.
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