書評
経験に裏づけられた医療社会事業の理解書「メディカルケースワークの手引き(1,2巻)」―吉田ますみ著(聖路加病院)
森山 玲子
1
1東大病院リハビリテーションセンター
pp.53
発行日 1968年4月9日
Published Date 1968/4/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100102
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著者吉田ますみ氏によるメディカルケースワークの手引1と2は,著者が序でも述べているように,医療社会事業の普及のために,医師,看護婦,保健婦をはじめ広く世の人々に医療社会事業を理解してもらい,また実際に役立ててもらおうという意図のもとに書かれた本である。本書は,医療社会事業が果す役割とその必要性を,多くの事例を用いつつ,初めて医療社会事業という言葉をきく者にも,容易に理解できるように書かれている点で,初心者向けの書といえるであろう。
吉田氏みずからが,30数年間の経験のうちに扱った数多くのケースの中から本書に紹介された事例は興味深く,また従来の医師と看護婦のみによる疾病治療の医療から,患者を全人格的に,心理社会的に把握し,社会的人間という焦点にあわせ治療するのが現代の医療の方向であること,そしてそれが患者の疾病回復にいかに大切であるか,そのために医療社会事業家(ケースワーカー)の医療チームへの参与がいかに必要であるかを説いている。
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