特集 中耳真珠腫最新の知見—病態から治療まで
II.先天性真珠腫
先天性真珠腫の診断と治療
瀧本 勲
1
,
杉山 貴志子
1
1愛知医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.785-789
発行日 1987年10月20日
Published Date 1987/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210380
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I.はじめに
中耳真珠腫自体は古くから認識されており病態としては一応確立している。しかし病因論となると,後天性では化生説(WENDT 1873)と侵入説(HABERMANN 1888)があり,臨床例,実験例からそれぞれの自説の妥当性を主張している。
一方先天性であると主張する場合には迷芽説あるいは腫瘍説(CRUVEILHIER 1829のtumeursperlees)があり,ほかに胎生期での外耳道上皮細胞の内方侵入(AIMI 1983)1),粘膜層内のケラチン線維の存在(SADEら1983)2),胎生期の骨性鼓膜輪付近でのepidermoid formation(MICHAELS 1986)3)などの基礎的事実からの推定があり,複雑であるとともに概念にも統一は得られていない。
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