特集 中耳真珠腫最新の知見—病態から治療まで
III.後天性真珠腫・診断
真珠腫のX線診断
新川 敦
1
1東海大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.843-855
発行日 1987年10月20日
Published Date 1987/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210388
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I.はじめに
真珠腫症は慢性中耳炎のなかで骨破壊を伴う型の慢性中耳炎であり,合併症の多い疾患であるとともに手術時の偶発症を起こすことの多い疾患である。
中耳真珠腫を診断する検査法としては耳鏡検査,聴力検査,X線検査などがある。そのうちで耳鏡検査法は真珠腫の診断は比較的容易にできるが,その進展範囲,合併症の可能性などはほとんど鼓膜所見からはつかむことができない。また聴力検査においては,その伝音難聴成分が高度であれば真珠腫によって耳小骨連鎖の異常があることを疑わせるが,はたしてその耳小骨が破壊なのか固着なのかの診断,また真珠腫の耳小骨骨破壊部位までは診断することができない。
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