目でみる耳鼻咽喉科
定型的Garcin症候群の1例
川井田 政弘
1
,
神崎 仁
1
,
犬山 征夫
1
,
福田 宏之
1
,
福内 靖夫
2
,
荒木 信夫
2
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室
2慶應義塾大学医学部内科学教室
pp.436-437
発行日 1987年6月20日
Published Date 1987/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210320
- 有料閲覧
- 文献概要
Garcin症候群とは片側の全脳神経障害を呈する特異な症候群である。1927年にGarcinが片側全部あるいはほとんど全部の脳神経障害を呈する症例をまとめて詳細に検討することにより一つの症候群としてその臨床的特徴を提示した。すなわち①片側に限局した全脳神経障害,②四肢の運動・知覚障害はない。③脳圧亢進症状を欠く,④X線写真上で頭蓋底部に異常所見を認めるというものであり,その原因として頭蓋底部の腫瘍によるものが多いとしている。本邦における本症候群の報告の中でこの4項目の臨床的特徴をすべて満たした定型例はさほど多くない。今回われわれは乳癖の右側頭骨転移により右側に限局した全脳神経障害を呈し,Garcinの提示した4項目の臨床的特徴をすべて満たした定型的本症候群の1例を経験したので,ここに供覧する。(本文475-478頁参照)
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.