発見の遅れた聴神経腫瘍—慢性中耳炎との合併例

A Case of Acoustic Neuroma Complicated by Chronic Otitis Media: A Possible Cause of Delay of Acoustic Neuroma Diagnosis

I．はじめに

　一側性感音難聴に含まれる聴神経腫瘍（AT）を小さいうちに発見することは耳鼻咽喉科医に課せられた重要な責務の一つである。原因不明の一側性感音難聴症例では患者をAT検索のルーチンに乗せることはむしろ容易である。しかし感音難聴をきたしうる他疾患の合併がある場合にはATの疑いがもたれずに診断が遅れることがある。

　その1例として慢性中耳炎を合併していたため，多数の医療機関を受診していたにもかかわらずATの発見が遅れた1例をここに報告する。

　We reported a case of acoustic neuroma in a 49-year-old male, and discovery of the tumor was delayed because the chronic otitis media complicated in the same car diverse the attention from the unilateral profound sensorineural hearing impairment.