鏡下咡語
耳鼻咽喉科医の将来(額帯鏡のない耳鼻咽喉科医)
新川 敦
1
1東海大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.56-57
発行日 1987年1月20日
Published Date 1987/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210251
- 有料閲覧
- 文献概要
私が日耳鼻ワークショップで口演したことが話題になっているが,その内容が正確に伝わらず,ただ額帯鏡は要らないという面だけが強調されているように思われる。ここに私の発言した真意を発表しておきたい。
耳鼻咽喉科医のシンボルとしての額帯鏡は耳鼻咽喉科有史以来,診断,治療に用いられており,医師の典型例として図案には必ず用いられているほどである。しかし近年その使用目的は限られたものとなりつつあると考える。その意味するところはより精密な診断技術,精度の高い治療方法が開発され,額帯鏡が診療に占める割合が減少しているということである。とくに教育現場の若手耳鼻咽喉科医にとっては診断技術が中心となるために,多くの検査機器,備品の中の一品目としての額帯鏡が存在する程度の存在価値になっているのが現状と考える。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.