特集 扁桃—今日の臨床指針
V.診断と治療
扁摘の偶発症,合併症に対する予防と処置,対策
小川 浩司
1
1北里研究所病院耳鼻咽喉科
pp.883-887
発行日 1985年10月20日
Published Date 1985/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210044
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I.はじめに
アデノイドをも含め扁桃手術は近年一般耳鼻咽喉科医から敬遠され気味とはいえ,今日なお最も頻度の高い手術の一つである。扁桃手術はフレッシュマンでもやる基本的な手術である一方,長年経験を積んだベテランでも心弾まぬ手術である。それは術者ばかりではなく全身麻酔で行う場合麻酔科医にとっても同様のようである。偶発事故や合併症が多いためであろう。その原因はこの手術が身体で最も狭く気道や食道が交叉する反応性に富んだ咽頭という特殊な部分で行われ,また術創を剥出しにするという特殊性からくることが考えられる。扁桃手術の偶発症,合併症の主なものをまとめると表1のようになる。全身麻酔の場合は麻酔科医が加わることになるが,本編では耳鼻咽喉科医に必要な予防,処置,対策に関して記述したい。
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