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I.はじめに
掌蹠膿疱症puslulosis palmaris et plantaris(以下PPPと略す)の主病変は無菌性膿疱である。この無菌性膿疱がなぜ手掌,足底という特徴ある部位に好発するのであろうか。そして手掌・足底-無菌性膿疱-扁桃の三つの因子はどう係わり合っているのだろうか。これらの疑問を解明することがPPPの病態にとどまらず病巣感染を知るための糸口になると思われる。
1934年Andrews, Birkman & Kelly1)は手足に難治性膿疱を有する15例について報告した。膿疱内容の検索では細菌,真菌いずれの要素も陰性であったが全例に感染病巣が認められ,これらの病巣を取り除くことにより膿疱が著明に改善したことを記載した。この論文がPPPと病巣感染について言及した最初のものである。その翌年(1935年)AndrewsはMachacekとともに「PustularBacterids of the Hands and Feet」というタイトルで論文2)(図1)を発表し,この無菌性膿疱を生ずる疾患に対して末梢血白血球数増多,細菌ワクチン皮内反応陽性所見などを根拠にbacteridという概念を導入した。そして24例中9例の患者が扁摘によって完治したことを報告し,"So far, however, infected tonsils have been the chief betenoire not only in our cases but also in those ofothers, according to the reports." と述べ感染病巣の中でもとりわけ扁桃が重要であることを指摘したのである。このAndrewsらが記載した無菌性膿疱が今日われわれがPPPと呼んでいる疾患である。Pustulosis palmaris et plantalis†なる名称は1954年Leverが臨床症状ならびに病理組織学的見地から提唱したもので,本邦では太藤らが邦訳した掌蹠膿疱症の名で親しまれている。
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