特集 皮疹はこう見る,こう表現する
よく見る皮膚疾患を発疹レベルで理解する
〈水疱症・膿疱症〉
掌蹠膿疱症
村上 正基
1
1愛媛大学大学院医学系研究科分子機能領域皮膚科学
キーワード:
掌蹠膿疱症
,
膿疱症
,
水疱
,
膿疱
,
水疱内膿疱
Keyword:
掌蹠膿疱症
,
膿疱症
,
水疱
,
膿疱
,
水疱内膿疱
pp.1892-1893
発行日 2020年10月10日
Published Date 2020/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227240
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▶疾患の概要
掌蹠膿疱症の疾患概念・認識は,本邦と一部の欧米諸国においてやや異なる.本邦では1935年Andrews,により報告されたpustular bacterids of the hands and feetに基づき1),Leverの“pustulosis palmaris et plantaris(PPP)”の訳語として掌蹠膿疱症という病名が提案された2).対して欧米では,1930年にBarbarとIngramが,acrodermatitis continuaから独立した手掌限局型の膿疱性乾癬的な概念を提唱し,palmoplantar pustulosisと呼称した概念を取り入れる傾向にある3,4).両者の違いは,Andrewsが強調するところの「pustular bacterid」の考え方・捉え方の違いによると考えられるが,実際には「Barbarが意味するところの膿疱性乾癬」が,「Andrewsがpustular bacteridと提唱する病態」に非常に類似する皮膚症状を呈するため,次第に両者を意識的に区別することがなくなり,徐々に両者の概念が混同されて今日に至っている.ここで取り上げる掌蹠膿疱症は,Andrewsの提唱するPPPであり,膿疱形成を伴う手掌足底型乾癬とは異なるものという認識のもとに記述を進める.
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