目でみる耳鼻咽喉科
慢性鼓膜炎と水泡性皮膚疾患
星野 知之
1
,
鈴木 一元
1
,
野沢 理
1
,
石田 正人
1
,
市村 恵一
1
1浜松医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.600-601
発行日 1985年8月20日
Published Date 1985/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209995
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それほど稀な疾患では、鰻いのに慢性鼓膜炎の原因はいまだに確定されていない。鼓膜や外序道底に増殖性変化をきたした難治性の慢性鼓膜炎の1例(症例1,図1-2)を経験したが,あい前後して全身性水疱皮膚疾患をもつ患者でやはり広汎で難治性の鼓膜変化を認めた。水疱性類天疱瘡の患者にみらた両側鼓膜の変化(症例2,図3,4),尋常性天疱瘡の女性にみられた一側性の難治性びらん(症例3,図5),先天性表支水疱症の例でなられた広汎な鼓膜炎(症例4,図6,7)である。こうした水疱性皮膚疾患では免疫学的に原因が究明され診断に利用されているので,症例1の鼓膜炎例の外耳道皮膚を用いて検索したが,抗体の沈着は認められなかった。鼓膜という特殊に分化した膜状の皮膚,それに続く外耳道の薄い皮膚,中耳手術の術後創皮膚の病態はこれまであまり注目されていなかったが,きまざまな手法で解明する必要がある。
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