特集 滲出性中耳炎—最新の知見—
III.診断
耳管機能(通気度)—圧・気流動態法による診断,および治療効果の判定
本田 啓二
1
,
熊沢 忠躬
1
1関西医科大学耳鼻咽喉科
pp.813-824
発行日 1984年10月20日
Published Date 1984/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209850
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I.はじめに
耳管の働きには中耳腔分泌液の排出,耳管咽頭口からの音・分泌液の侵入防止などのほかに,大気圧との圧平衡を保つための換気などが考えられている。したがって,これらの生理・病態を知ることは中耳疾患の診断,治療,治療効果の判定などに重要である。この目的のために多くの検査法が考案されており,中耳から咽頭へ,咽頭から中耳へと二つの方向で閉鎖,開大の動態が受動的に,能動的にと複雑な装置や精密な気密室を用いて研究されている。しかしWullsteinも指摘1)しているように,日常生活での換気は咽頭からのものが主であり,この点に着目した日常臨床で広く応用される簡便で有用な耳管機能検査法の出現が切望されている。ここでは圧・気流動態という観点から耳管鼓室気流動態法(TTAG)を取り上げ,この方法によって測定された記録波形のほかに,Bluestoneらのinflation-deflation test3)およびFalkらの"sniffing test"4)などとの対比により,本検査法につぎ検討を加えるとともに本検査法により測定された滲出性中耳炎例の耳管機能と治療,さらに耳管-鼓室気流動態法の原理に基づいて製作された日常臨床で簡便で有用な耳管機能測定装置,JK-015)について述べた。
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