特集 滲出性中耳炎—最新の知見—
II.成因と病態
鼻咽腔(アデノイド・耳管)との関係
本庄 巌
1
1京都大学医学部耳鼻咽喉科
pp.771-778
発行日 1984年10月20日
Published Date 1984/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209844
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I.はじめに
滲出性中耳炎の成立に鼻咽腔の病態がどのように関与しているかは,従来から議論の多いところである。従来の実験的研究の成果は耳管の機能不全が滲出性中耳炎の発症に大きくかかわっていることを示してきたが,一方アデノイド切除術の本疾患に及ぼす効果が予期されたほどではないこと,また中耳貯留液の細菌学的,免疫学的解析の結果などから,滲出性中耳炎と耳管,アデノイドとの直接的,あるいは一次的な因果関係を疑問視する意見もみられるようになった。
結論を先に述べると,現段階では耳管を中心とする鼻咽腔の病的状態と,滲出性中耳炎の成立との関係はなお未解決であり,因果関係についての明確な結論を得るに至っていない。したがって本稿では従来われおれが行ってきた滲出性中耳炎例におけるアデノイド・耳管機能の臨床的観察の結果を報告し,これを基に今後検討さるべき問題点を提示したい。
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