特集 滲出性中耳炎—最新の知見—
IV.治療
アデノイド切除
鈴木 雅一
1
,
小寺 一興
1
1帝京大学医学部耳鼻咽喉科
pp.843-848
発行日 1984年10月20日
Published Date 1984/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209853
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I.はじめに
滲出性中耳炎にたいする治療法としてのアデノイド切除のしめる位置は,現在,必ずしも確固としたものではない。小児の滲出性中耳炎のほぼ全例にアデノイド切除が有効であるとする立場もあれば,アデノイド切除の無効論やさらには弊害論を唱える立場もある。現時点で,アデノイド切除による治療効果のみを再評価しようとするとき,アデノイド切除と鼓膜切開・チュービングとの併用の報告が多いため,アデノイド切除自体の果たした治療上の役割が不明瞭になっている。
アデノイド切除が確実に有効な滲出性中耳炎は確かに存在すると思われる。一方,アデノイド切除が無効であるような,少なくとも必要としない症例も存在すると考えられる。
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