特集 滲出性中耳炎—最新の知見—
II.成因と病態
滲出性中耳炎と側頭骨含気蜂窩との関係
青木 和博
1
,
本多 芳男
1
1東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科
pp.779-785
発行日 1984年10月20日
Published Date 1984/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209845
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I.はじめに
一般に慢性中耳炎,中耳真珠腫に代表される中耳慢性炎症と側頭骨含気蜂窩発育抑制との関係は強く示唆されている事実であるが,近年とみに増加を見ている滲出性中耳炎においても同様な傾向がうかがわれる。否むしろ含気蜂窩抑制と中耳炎の関係を考えるとき,発育期に多発する小児滲出性中耳炎は両者の因果関係の解明に重要な糸口をもたらすと考えられる。これらの点より小児滲出性中耳炎と側頭骨含気蜂窩抑制との関係,さらに含気蜂窩抑制をきたす原因を検討することは滲出性中耳炎に対する治療はもちろんのこと,予防にも重要な意味を持つと考えられる。そこで臨床的に小児滲出性中耳炎患者の年齢と含気蜂窩発育度との関係を記し,また動物実験的に解明した含気蜂窩抑制をきたす原因について究明した結果を説明して,加えて含気蜂窩抑制度別にみた治療経過を検討し,いかなる治療が必要か,またその有効な治療効果とはいかなる病態の改善を意味するものかなどについて,含気蜂窩を中心に述べてみたい。
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