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I.はじめに
耳硬化症に対する近代的鐙骨手術が,Shea1)によって始まり20数年をへ,その間行われた幾多の手術法に対しても,客観的評価が固まりつつあるように思われる。日本人の耳硬化症の発現頻度は,欧米人のそれに比べ非常に少なく,手術例数も少ないので,一般に手術成績は劣るようである。Shca2),Austin3),Schuknecht & Benkover4)らの報告では,一人の術者が長年にわたり幾つかの術式を用いた経験からのデーターが用いられており,それぞれの手術の長所・短所や,長年月にわたる手術の効果等,参考にすべき点が多い。しかし,我が国においては,本症の例数が少ないこともあり,手術は大学病院のような固定した大きな施設で行われることが多い。したがって,一人の個人で長年月にわたりこの手術にたずさわり,多くの症例を集めることは難かしいと思われる。
本論文で報告する手術成績は,大阪大学耳鼻咽喉科において,昭和40年(1965年)より1昨年まで行われてきた17年間の耳硬化症手術例を対象にしたもので,その間,術者および術式には多くの変遷がある。当然,術後成績は,数多くの経験を持つ欧米の熟達した術者の報告するものより低い。しかし,絶対的症例数の少ない我が国にあっては,一施設の長年にわたる統計成績も,他家の参考になるのではないかと考え,報告する次第である。
50 patients (78 ears) of clinical otosclerosis have been operated on with using various methods from 1965 to 1981. Average air conduction hearing loss of 500-2kHz was 49.5dB preoperatively. This was improved to 27.8dB when the audiograms within 3 months post-operative period were studied. The post-operative air-bone gap was diminished 66% of the pre-operative air-bone gap by the stapedectomy. Severe sensory type hearing loss due to the surgery occurred in 6 ears out of 78 operations (7.7%).
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