特集 頸部腫脹の臨床
III.症例
鰓性癌
海野 徳二
1
,
川堀 真一
1
,
北村 武
2
Tokuji Unno
1
,
Shinichi Kawabori
1
,
Takeshi Kitamura
2
1旭川医科大学耳鼻咽喉科
2千葉大学医学部耳鼻咽喉科
pp.869-872
発行日 1983年10月20日
Published Date 1983/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209685
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I.はじめに
鰓性癌は非常に稀な疾患であるにも拘わらず,診断の過程においてこの疾患ではないかという疑いを持つことは,それ程少なくない。それは,鰓性癌に対応する良性腫瘍としての側頸嚢胞は稀ではないことや,頸部の孤立性腫瘍として鑑別しなくてはならないという意識などによるものであろう。また,鑑別が困難であるだけに一層興味が持たれるからでもある。Martinの診断規準が広く認められて1),単なる疑いの段階での症例が報告されることは無いが,この規準を完全に満足させる症例も極端に少ない。鰓性癌の存在そのものにさえ今日なお論争があるが,実地臨床家としては,この種の疾患を取り扱う態度を決めておかねばならない。既に発表した2症例を引用してこの問題を検討した。
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