Japanese
English
特集 末梢神経系の形態
鰓弓神経の形態について
Morphological Consideration of the Branchial Nerves
田中 重徳
1
Shigenori Tanaka
1
1琉球大学医学部解剖学第1講座
1Department of Anatomy, School of Medicine, University of the Ryukyus
pp.403-415
発行日 1987年5月1日
Published Date 1987/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205899
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
鰓弓(広義と狭義)および鰓弓神経の研究の歴史
無羊膜類のうちで,円口類および魚類の鰓弓は幼生期と成体とを通じて,呼吸の機能に重要に係っている。両棲類では幼生期に呼吸をこの鰓弓で行うが,その後の発生において肺が形成されるに伴って鰓弓は次第に退行していく。
有羊膜類においては鰓弓が呼吸を行うことはなく,その機能はもっぱら肺によって行われる。しかしながらこの網の動物においても,例えばヒトの発生の初期の段階(胎生4〜5週の鰓弓期)には鰓弓(咽頭弓とも臓弓とも言われる)が出現する。この様に「脊椎動物の頭頸部には鰓弓という弓状構造がみられる」と言う事実は,Haeckel (1904)のいわゆる反復説の肯・否定の論議のいかんに拘らず真摯に見つめる必要があろう。脊椎動物の発生において弓状の構造が形成されるとの記載は今から一世紀半も前のReichert (1837)およびRathke(1838)の記載に遡ることができる。爾来,鰓弓系の形態と機能の解明は形態学に携わる人達の尽きることのない命題でありつづけてきた。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.