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I.はじめに
いわゆるpyogenic granulomaは,1897年PoncetおよびDor1)によりBotryomycosis humaineと命名されて以来,種々の名称のもとに国内・外で報告されてきた。これらに共通の所見として,「一般に皮膚露出部に生ずる半球状ないし,有茎性の赤色腫瘤で,しばしば外傷に続発し,時にびらん,痂皮の付着があり,経過は慢性である。良性だが完全に破壊されなければ再発をきたす2)。」とされている。しかし,その成因ならびに本態については,大別して,①皮膚の病的状態を背景に,外傷または感染などの誘因が加わって生じた肉芽腫の1型とする説と,②後天的に発生する特殊な血管腫であるとする説に分かれており,今なお不明な点が少なくない。
一方,本症の発生部位は毛に頭頸部の皮膚および粘膜であるにもかかわらず,耳に発生した例は稀で,これまで本邦および外国合わせて9例を数えるのみである。さらにこれらの中で外耳道に発生したという明らかな記載があるのは,1979年に渡辺ら3)が報告した1例のみである。また本症を微細構造の面から観察することは,その病因解明にきわめて有用と思われるが,これまでこの種の報告はわずか2つ4,5)しか見られず,かつ両者は炎症説と血管腫説の相異なる見解を示している。
A 22-year-old pregnant woman had a reddish granuloma-like tumor in her left external auditory canal. The tumor was surgically resected and the histological study revealed the so-called pyogenic granuloma. Additional electron microscopic examination showed the following morphological findings ; a large number of capillaries with various calibers, proliferation of the endothelial cells in the interspaces of the capillary network, reduplication of the capillary basement membrane, and unusual many endothelial cells in some capillaries. From these characteristics we concluded that the true nature of this tumor was a kind of hemangiomas.
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