特集 耳鼻咽喉科MEの進歩
X.医用システム
内視鏡システム
嶋田 晃一郎
1
,
堀江 昌平
1
,
松村 公人
1
Koichiro Shimada
1
1獨協医科大学胸部外科
pp.947-952
発行日 1981年10月20日
Published Date 1981/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209349
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I.はじめに
耳鼻咽喉科領域で最もポピュラーな内視鏡といえば,やはり気管支鏡(bronchoscope)であろう。最近の気管支鏡はグラスファイバーを利用した気管支ファイバースコーフの開発によって(この開発には,わが国の内視鏡研究者の努力と制作者の高度な技術の寄与するところ,きわめて大であって,日本が世界に誇りうる医療技術の最たるものである),可視範囲は飛躍的に末梢の気管支にまで拡がり,呼吸器疾患の診断と治療の面で欠くことのできないものとなっている。
現在,気管支鏡の適応は,第一に診断面では,気管支上皮を主として発生母地とする肺癌の診断と他疾患の鑑別である。そのためには病巣の所見の確実な把握と,細胞診や組織診のための検体の充分な採取が必要となる。第二には治療面への応用であつて,気管支内の異物の摘出である。これには外来の気管支内迷入物である異物の摘出のほかに,気管支内の分泌物の除去という大きな目的がある。たとえば,気管支ファイバースコープを用いて,直視下で選択的に喀痰を吸引することは,気管・気管支再建術後の肺合併症の予防のため非常に重要な治療手段となっている。
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