特集 耳鼻咽喉科MEの進歩
VII.治療
凍結
平出 文久
1
Fumihisa Hiraide
1
1防衛医科大学校耳鼻咽喉科
pp.905-911
発行日 1981年10月20日
Published Date 1981/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209342
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I.はじめに
病変組織に対して凍結を利用した治療法を通常凍結手術cryosurgeryと呼び,近年耳鼻咽喉科領域の疾患に対して広く適応されてきている。凍結手術は凍結のもつ4つの作用,すなわち 1)接着効果cryo-adhesion 2)固形化cryo-solidification 3)炎症効果cryo-inflammation 4)壊死効果cryo-necrosisを利用して非観血的に病変組織の破壊除去あるいは消失をはかるものである。耳鼻咽喉科領域では凍結のもつ壊死効果を利用した手術が主体となっている。凍結手術は従来の外科手術と比べ,術中,術後の出血が少なく,手技も簡単で短時問に終了でき,かつ手術侵襲も少ない。また術後の組織欠損が意外と少なく,術後の治癒過程は比較的生理的で,瘢痕形成や狭窄をきたしにくいので術後の変形や機能障害が少ない利点がある。
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