特集 耳鼻咽喉科MEの進歩
I.耳科
OKN+ETTシステム
三好 豊二
1
Toyoji Miyoshi
1
1京都大学医学部耳鼻咽喉科
pp.735-746
発行日 1981年10月20日
Published Date 1981/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209318
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I.はじめに
視運動性眼振(optokinetic nystagmus,OKN)検査及び視標追跡運動検査(eye tracking test)は共に視運動機能の状態を見るための検査である。両者の最も大きい差は,前者が中心窩のみならず周辺視野迄も含めた視野全体が刺激を受けた際の眼の動きを検討するため,機能的な面の外に反射的な側面も有しているのに反し,後者は中心窩のみを刺激した場合の眼の動きを見て居るため,機能的色彩が主になっている点である。又前者が滑動運動と衝動運動という2つの異なった眼運動機構の交互の繰返しより成り立っているのに比し,後者は滑動運動のみの往復である点も異なっている。しかし両者が本質的に同じか異なるかに関しては未だ結論を見ていない現状である。
眼運動は大脳特に前頭前野,後頭野,頭頂連合野が関与し,小脳の制御を受け,前庭系より多大の影響を被っているとはいえ,動眼,滑車,外転の3神経がその主役を演じている事は疑いない事実であり,これら3神経核が,これと不離の関係にある上丘と共に中脳から橋部背側に分布している。しかもこの場所は平衡維持系の統合中枢でもあるので,両検査は平衡機能検査としても極めて重要なものである事は首肯し得る所である。
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