特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の機能検査―何がどこまでわかるか―
V.めまい検査
7.ENG検査(OKN,OKAN,ETTを含む)
中村 正
1
1山形県立中央病院耳鼻咽喉科
pp.171-179
発行日 2003年4月30日
Published Date 2003/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100992
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I.はじめに
“体がふらふらする”,“ぐるぐる回る”などの“めまい”の出現は,体平衡機能の何らかの破綻を意味するので,その成因を客観的に診断するためには,体平衡機能の正しい評価は欠かすことはできない。生理学的には,体平衡機能には前庭系,視運動系,深部知覚系が存在し,前庭系を刺激すると眼球が偏倚する反射,すなわち前庭動眼反射が起き,一方,外界を移動する対象物を追随させると視運動系反応として一連の眼球運動が出現することが知られている。このような理論的背景を念頭におけば,体平衡機能評価のための検査として眼球運動系の観察・解析を行うことは論理的であり,眼振検査や温度刺激検査あるいは視運動性眼振検査(optokinetic nystagmus:OKN)や追跡眼球運動検査(eye traking test:ETT)などの視刺激検査がめまい検査の中で重要な役割を果たしていることは容易に理解することができる。
電気眼振図,すなわちelectronystagmography(ENG)またはelectrooculography(EOG)は眼球運動を定量的に記録する装置として広く普及している検査法である。
本稿では,この検査が,めまい検査の中でどのような位置にあるのか,めまい診断にどのように利用されているのか,何がどこまでわかるか,その理論と実際を中心に解説する。
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