特集 耳鼻咽喉科と感染症
IV.感染症の諸問題
周産期の感染症
田部井 徹
1
Toru Tabei
1
1自衛隊中央病院産婦人科
pp.841-847
発行日 1980年10月20日
Published Date 1980/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209158
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I.はじめに
周産期とは,日産婦新生児委員会の定義によると,妊娠29週より生後7日までの期間と規定されている。最近,周産期における母児管理の重要性が指摘されているが,周産期死亡の5〜10%が感染に起因している事実から考えて,この期間における母児感染の予防および治療は,産科臨床上極めて重要な問題である。
周産期の感染症は,妊娠時,分娩時ならびに産褥時における母体,胎児,新生児の感染に大別される。近年,施設分娩,滅菌,消毒法の進歩および化学療法の普及などにより妊娠中あるいは分娩時の重篤な感染症や典型的な産褥熱の発生は減少したとはいえ,周産期における母児感染症は産科臨床医にとって母児管理の上で忘れてはならない疾患である。
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