先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
感染症とその化学療法
術後感染に対する抗生物質の予防効果
田部井 徹
1
Toru Tabei
1
1赤心堂病院
pp.433-435
発行日 1986年6月10日
Published Date 1986/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207399
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抗生物質の投与が,術後感染の予防に有効であることは疑いないと思われるが,抗生物質の乱用をいましめる立場から否定的な意見もある。現在迄,術後感染の存在や程度を証明することは困難なことが多く,また投与した抗生物質の有効性を客観的に評価する適切な指標がないために,術後感染に対する抗生物質の予防効果を系統的に検討した報告は少ない。筆者1)は,腟式あるいは腹式単純子宮全摘出術における抗生物質の予防効果に関する欧米の知見を総説的に発表した。一般に,腟式手術後に発生する感染症の頻度は腹式手術に比べて高率であり,従って抗生物質による予防効果が顕著であるが,腹式手術における効果に関しては,諸家の意見が一致せず確定的でない。筆者ら2,3)は,本手術後のFebrile Mor—bidity (FM)あるいはFever Index (FI)などの熱型分析が抗生物質の術後感染予防を評価する上に,有力な指標になり得ることを報告した。
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