特集 耳鼻咽喉科と感染症
II.感染解剖学
顎下部,口腔底
河村 正三
1
Shozo Kawamura
1
1順天堂大学医学部耳鼻咽喉科
pp.757-760
発行日 1980年10月20日
Published Date 1980/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209144
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I.3つの間隙と感染
口腔底の粘膜下は主として筋肉と唾液腺とでできた厚い軟部組織があり,それは上頸部の皮下にまで達している。感染が粘膜下に進展すると,これらの組織の間の比較的疎な結合織に沿って進展し易く,筋肉,特にその筋膜の間隙に感染が進入して膿瘍などを生じる。
口腔底には3つの重要な間隙がある。すなわち,顎舌骨筋(第1〜3図)の上部にある舌下間隙(sublingual space)と,その筋の下にあるオトガイ下間隙(submental space)と,顎下間隙(submandibular space)である(第4,5図)。submandibular spaceは最近までsubmaxillary spaceと呼ばれていた間隙であり,3つの間隙を総称してsubmandibular spaceということもあり,その場合は狭い意味の間隙を顎舌骨筋下間隙(submylohyoid space)と呼ぶことをPaonessaとGoldsteinは提案している1)。
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