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I.まえがき
筆者は耳鼻咽喉科医として55年間の医業従事経験とその実績を記録にまとめた。なかんずく終戦後35年間の長期にわたりその多くが僻地または無医地区である地域,すなわち国鉄豊肥本線の両側沿線,南に祖母傾山山系,北に大阿蘇久住連峰の容する行政の陽の当たらぬ竹田市,直入郡,大野郡,阿蘇郡の1市14町村の広域,しかも交通関係としては国道57号線が国鉄豊肥本線とほとんど平行して九州を横断しているものの各地区に通ずる支線に乏しく路面も悪く極めて悪条件下にある小・中学校児童生徒の健康管理を巡回診療によって実施するのは並大抵のことではなく,長期間の絶ゆまざる根気と犠性に絶えることが必要条件の主なものであった。
昭和40年には小学校62校児童24,089人,中学校32校生徒10,615人に対し実施したのであるが,この年次が最高潮で以後諸種の条件により漸減の傾向をたどったのである。これらの状況を地域別,年次別,統計的にその累計を総合し諸症例をまじえて実態を報告し,第1に僻地無医地区の多きこと,第2に住民の過疎現象著しきことを報告し,第3に直接関与する医師数の漸減は健康管理などに対し極めて緊急かつ重要な課題であり,早急に関係機関の適切なる処理を的確に実施されるよう衷心より乞い願うものである。
I have worked for 55 years as an otorhinolaryngologist, and I report the medical treatment in a remote and doctorless place, especially for 35 years after World War II. I worked in Takeda, Naoiri, Chno, and Aso, 1 city and 14 villages between Mt. Sobo and Mt. Aso-Kujyu. This place is inconveniently situated.
This is a statistical report, of regional and annual visiting clinic in behalf of primery or junior high school students.
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