元外科医,スーダン奮闘記・3
巡回診療開始
川原 尚行
1
Naoyuki KAWAHARA
1
1NGOロシナンテス
pp.945-948
発行日 2006年7月20日
Published Date 2006/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100931
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医薬品を持ってガダーレフ州へ
横浜市から提供していただいた医薬品を早速,ガダーレフ州の保健大臣のところへ届けに行った.その途中,車のパンクと,以前に水の入った燃料を入れられたために調子の悪くなった車との影響で到着時間が大幅にずれて夕方になった.当初の予定では,保健大臣に挨拶してから,その日のうちにドカ病院へ移動するはずだったが,この日はガダーレフに泊まらなければいけない.適当に安ホテルでも見つけて泊まろうと思っていると,大臣が自分の家で飯を食って,それから親戚の家があるのでそこに泊まれと言ってくれた.そこは「グッティーヤ」と呼ばれる小屋であった.木で枠組みを作り,土に草と水を混ぜてこねて乾燥させたものを壁にしている.屋根は茅葺である.三匹の小ブタの長男が建てた,狼にすぐにぶっ壊される家に似ている.私はこの小屋を単純に気に入っている.いずれは自分のグッティーヤを持ちたいと考えている.
さて,その小屋のなかで大臣は思いもかけないことを言ってきた.私にドカ病院ではなく,ガランナハル病院に行ってくれと言う.ドカ病院は現在3人の医師体制を整えたが,ガランナハル病院には医師が1人しかいないからサポートしてくれというのである.当初の目論見とは違うが,大臣に頼まれると仕方がない.さらに,この場所は以前,大臣に一度見ておいてくれと言われて行ったことがある.事情も大体つかんでいたので,翌日は行き先を変えて,ガランナハルとなった.
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