原著
巡回診療の方法
木村 隆徳
1
1福岡県衛生部医務課
pp.110-111
発行日 1962年2月15日
Published Date 1962/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202499
- 有料閲覧
- 文献概要
巡回診療の問題の一つは次回診療までのギャップをいかにするかということです。移動診療とは投薬することであるとするのなら,甚だかんたんですが,やはり例の"健康とは単に病気や傷害がないばかりでなく,肉体的にも精神的にも,また社会的にも完全に快適である状態をいう"というWHOの世界保健憲章が気になります。こう考えるのは公衆衛生にたずさわる私たちだけではありません。最近九大で行なわれた九州ブロック医学生ゼミナールでも,各大学の種々な巡回診療班から,これまでのやり方への疑問と,これからどうすればよいかのあせりが強く表明されていました1)。
第2に日赤,済生会,大学,新聞社,医師会などのほとんど無数ともいえる巡回診療が今のようにばらばらに行なわれてよいものだろうかという点です。また厚生省が,昭和31年度から「へき地」解消計画2)を開始し,さらに「特別へき地」の巡回診療車などの整備計画が今年度から実施されて県衛生部など公の機関による巡回診療がさかんになりつつある現在,他の巡回診療との関係をどうするかということも問題になります。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.