特集 今日の耳鼻咽喉科
日常診療に必要な知識
ショック
ショック時のステロイド大量療法の背景
井田 健
1
1島根医科大学第1外科学教室
pp.785-789
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208968
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I.はじめに
出血性,心原性,敗血症性など種々の原因により発生する症候群をショックという概念で表わしているようにその病態像は原因によりそれぞれ異なるが,共通した部分も多く特にterminal stageでは同様の経過をたどる事が多い。
近年臨床的には嫌気性菌によるsepsisが問題になる事が多く,lymulus lysate testが一般化したため臨床的には従来はseptic shockといわれていたものが,endotoxin shockといわれる事も日常化する一方,ショック症状を示さずに単なるendotoxemiaで経過する事もあるが,septic shockの病態が徐々に解明されつつある。またsepticshockの中でもwarm shock(hyperdynamic shock)1)の意義が問題になつており従来のshockの概念を逸脱するものまで包括するようになっている。さらにDICの問題が論義されその診断,治療基準も確立されつつあり,shock症候群がどの科においても重要なテーマとなつてきている。そこで今回はもっともpopularでかつ治療の困難なseptic shockを中心にenergy代謝面より考察し,steroid療法の意義について論及したい。steroid大量療法は臨床2),実験データからみて有効とする意見が多いが,現在においてもなおその有効性については議論になる事も多く,あらためてseptic shockの補助療法の一つとしてのsteroid大量療法を考えて見る事も大切である。
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